Ma chissà quando i Giapponesi hanno trovato questa sicurezza da saper mostrare la loro abilità anche sotto tensione?

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未来のパスタ、パスタの未来

一体、日本人はいつから大きな緊張化でも本領発揮できる度量を身につけたのか?
927日からミラノとパルマを舞台に開催された第6回目『バリラ・パスタ・ワールド・チャンピオンシップ』で、決勝進出を果たした弓削啓太シェフの奮闘の一コマだった。
初めて使うキッチンで、エビ汁チュイルを作るフライパンの底がコンロの五徳につかまって火からおろせない。鍋のオイルはどんどん温まりだした。
審査員席で彼の手元を見守っていた星付きシェフ マッテオ・バロネットが腰を上げ、アシスタントに走り寄り『彼が与えられたフライパンのサイズは間違っている、ミニ五徳が要る』と指示を飛ばした。
ところが、自力でフライパンをはずすと、弓削シェフは何もなかったかのように落ち着いた手つきで作業を初めから繰り返した。オイルをひく、エビ汁を煮詰める、調理台を拭く。拭いたら今度はレンズ豆のピュレを仕上げるといった具合に無駄のない動きで次の作業につなぐ。彼のきれいに整理されたキッチンと寸分違わず、一切の邪念が彼からは感じられなかった。

世界各国で選ばれ、この大会に参加したイタリアンのシェフ19名。予選では60分で『未来を見つめるシグニチャー・パスタ』つまり各シェフの創造力を発揮するパスタを、逆に準決勝では30分で『スパゲッティ・アル・ポモドーロ(トマトソースのスパゲッティ)』というシンプル極まりないパスタを自分の解釈で表現するという、難しい課題2つが用意された。そして3名が決勝に残り、再度シグニチャー・パスタを披露する。
日本代表 弓削シェフのシグニチャー・パスタは『スカンピのバリエーションとレンズ豆のフジッリ』。豆の美味しさに合わせ、好きな食材という『スカンピ』を身はもちろん、殻でとった出汁の旨みを一つの皿の上で形を変えて楽しませる。同時に素材を最後まで活かしきることで地球の未来を考えた。一方、スパゲッティ・アル・ポモドーロにはトマト水で茹でたパスタにシソの花のアロマを添えたシンプルな一品を曲げわっぱという和の器に込め、優雅に意表を突いた。
「僕の料理は様々なパーツを組み込んでいくことで一つの味を作っていきます。それらを一つにして口にした時に生まれる味を楽しんで頂きたいのです。」
淡々と語る弓削さんは、2005年、カナダで料理人となりフランス料理人を目指してパリに渡った。が、そこでつけ合わせに使っていたパスタの魅力に惹かれ、日本に戻るとイタリアンの門を敲いた。イタリアンのシェフになるとは思ってもみなったと言う。イタリアでの修業経験はない。日本のシェフたちに技を叩き込まれた。
『そんな弓削さんがこの大会に参加することで、日本のイタリアン全体のレベルを試せる。』バリラ・ジャパンが用意してくれた面白い試みだ。こうして弓削さんは、初めてイタリアの土を踏んだ。

一方、審査するのは、イタリアで活躍する才能豊かな5人の星付きシェフ、トレント郊外からアルフィオ・ゲッツィ、ヴィチェンツァのロレンツィオ・コーゴ、グロッセートのロベルト・ロッシ、紅一点クロトーネからカテリーナ・チェラウド、そして前述のトリノのマッテオ・バロネット。いずれも好奇心旺盛で会場でも席にじっとしていられない審査員たち。日本からいくつか食材を持参した弓削さんはもちろん、イスラエルや中国からの参加者など面白そうな動きのある調理台には近づいて探る。同時に、そこにおかれたもの全てに視線を走らせる。予め調理されたソースや加工品に目が留まれば、それを素材とみなすか否か、審査員全員で厳しく吟味する。参加者全員に平等な作業条件を与えるため、小さな点も見逃さない。星を獲得し、一流の料理人として尊敬を集める彼らも参加者と同じ苦労を重ねてきたからそれが出来る。例えば料理界の若きエース ロレンツォ・コーゴは東京の有名日本料理店『龍吟』での修業経験もあるが、他の比ではないその厨房の厳しさに耐えた人だ。だから出来上がった料理を手にした参加者にも、欠点には容赦なく、美点には賛辞を惜しまない。自分たちの役割をイタリア人らしい人間性で忠実に果たしているのは見ていて気持ち良かった。


昨年の宮本義隆さんに続き日本から2年連続で決勝進出を果たした弓削シェフのニュースは直ちに日本の関係者の間にも広まった。決勝戦での彼の活躍を皆が期待した。ロベルト・ロッシ シェフは弓削シェフのパスタを『口に入れてハッとする旨さがある。そして、皿の向こうに新しい未来を展望できた数少ない料理』と絶賛し、観客席の期待も高まる。が、弓削さんは平常心を失うことなく、常に笑顔でこう繰り返していた。
「これは僕にとって祭りですね。」
結局、優勝したのは、鶏卵の代わりに魚類の卵を用いたシーフード・カルボナーラをパワフルに仕上げたアメリカ代表アックルシオ・ロタ氏。優勝は逃したものの、終了時間2秒前できっちり人数分の料理を作り終え、やっぱり笑顔で『やるべきことは全てやりつくしました。』と審査員の前で断言した弓削シェフ。ピンと張った背筋と、はつらつとした語り口の彼に、長く日本を離れて暮らす私は、日本人としての誇りと元気を分けてもらった。

創業140周年を迎えるバリラが開催した今年の大会は、より大掛かりで、内容もさらに充実し、去年にも増してハイレベルな学びの場という印象が際立った。
Good For You. Good For the Planet』を掲げる企業がこのイベントに託した課題『パスタで未来を考える』への答えは、もちろん皿の上にも、そして参加した料理人と審査する側の料理人とのやり取りに、さらに大きな答えとなって読み取ることができた。
『人の誠実さと真面目さ、それがあればどんな未来も必ず開ける』 

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