Ritornano le Nadeshiko a cantare per la pace a Bormio e ad Asiago

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『なでしこ』達から、平和への歌声が今年も

テーブルに両肘をつき、開いた両手で頬杖をつくと、アーダが澄んだ瞳に笑みを浮かべて私に言った。
「さあ、何を話してくれるのかな?」
カターニア大学で都市・農村社会学の教授として教鞭を執るアーダ・カヴァッザーニに初めて会ったのは2015年、夏の終わりを告げるアズィアーゴだった。鬱蒼とした杉木立の下をゼビオ山から4駆で下っている途中、ジャンニが元気な足取りで登ってくるアーダを見かけ、彼女に話があるからとゆっくり車のブレーキを踏んだ。運転席の窓が降りるとアーダは車内を覗き込み、私たちの飼っている狼犬ベルカを見つけて興味深そうに眺めた。今、あの時と同じ眼差しで私が話し出すのを待っている。
Webマガジン『il Golosario(イル・ゴロザリオ)』の仲間には既に馴染みの深い日本の音楽家グループ『コンパニーア・ムジカーレ・なでしこ』が今年もイタリアでコンサートを開く。 

1か所目:ロンバルディア州ボルミオ地区 2017年7月28日(金)20時45分からプレマディオ・教区教会にて
住所Via ai Forni, 10 23038 Premadio (SO)

2か所目:ヴェネト州アズィアーゴ市 2017年7月30日(日)21時から ミッレピーニ劇場にて
住所:Via Millepini, 1 36012 Asiago (VI) Tel 0424 64349 

我が『il Golosario』のパオロ・マッソブリオが結んでくれた日本の若い音楽家たちと農学者ジャンニ・リゴーニ・ステルンとの絆は、年々深まっている。ジャンニは、『第2次世界大戦以降の欧州で最悪の虐殺』とされるジェノサイドが起こったボスニアのスレブレニツィア地区にイタリア・トレンティーノから137頭のレンデーナ種の乳牛を贈り、経済復興と環境保全支援する活動『Transumanza della Pace(平和の移動放牧)』をたった一人で地道に続けている。そして『なでしこ』達による彼の活動支援のためのチャリティーコンサートもこれで3年目を迎えた。今年は彼の暮らすアズィアーゴでも開催の運びとなった。

また、一つ目のコンサートはヴェルディデントロ市、同市観光協会、フェッリエレ・コルネリアーナ会館、クラブ・パピヨン地元支部の協力で行われ、前日にはマッソブリオも参加して、ジャンニが行っている支援活動のプレゼンテーションも予定されている。

2017年7月27日(木)18時30分からプレマディオ地区のフェッリエレ・コルネリアーナ会館にて

住所:Via ai Forni, 22 23038 Premadio (SO)

アーダに、このコンサート活動について是非とも知ってもらいたいと思ったのは、彼女が非政府組織『GAO Cooperazione Internazionale』の会長として、ジャンニが彼の活動をさらに堅固しようと新たに『Rendene in Bosnia. Rivivere nella Pace(レンデーナ種牛をボスニアへ、平和な暮らしを取り戻そう)』プロジェクトのを立ち上げる際、資金協力をしたまさにその人だったからだ。これにはヴァルド派教会からも大きな支援を受けている。そしてとうとう春、これまでジャンニと共に良き肥育者を目指し努力してきた中から選ばれた3軒の農家で、広々として近代的な厩舎の建設が始まった。これは、最終目的の一つ、チーズ工房の建設(我らがマッソブリオも2年前から協力を申し出ている。)に一歩近づいたことを意味する。
彼女の眼差しに勇気づけられ、気がついたら支援のきっかけから今年のコンサート活動まで夢中になって日本の演奏家グループ『なでしこ』の話をしていた。
彼女は話を聞き終えると「気に入った!」、と言った。
彼女にそうはっきりと言い切ってもらったら、どうしたことか、お腹の底から喜びと力が湧いてきた。今後、彼女と一緒に『なでしこ』は何か新たな試みが生まれるかもしれない。
ふと、ローマ教皇のスポークスマンを長く務めたナヴァッロ・ヴァルスは、職務をとおしてマザーテレサ、ダライ・ラマ14世そしてネルソン・マンデラという3人のノーベル平和賞受賞者と知り合うことが出来たが、『この3人の共通点』は、と聞かれ、『常に驚くほど朗らかで前向きだったこと』と答えていたのを思い出した。

アーダの前向きさとエネルギーに、私も心を動かされた。確かに、後ろ向きな気持ちでは誰も説得できない。ましてや直接の見返りは望めない、弱者への人道援助への協力を促すときには。ところが、明るいことと軽薄であることは紙一重。明るさに任せて周囲の状況に常に目を配ること怠ってはいけないし、困難な状態に陥ってもすぐ投げださない我慢がないとあっという間に後者に陥る。簡単そうに見えて、その難しさは経験してみないと解らない。
今年の『なでしこ』場合も、5月にいくつかの問題が浮上した。まず、予約をしていたアリタリア航空存続の危機。さらに、参加する演奏家は若い女性たちだけに、人生の転機を迎え、旅行を断念するか悩む者もいた。私は、日本人的な慎重さから、最悪の場合はコンサートが出来ないかもしれないから先に謝っておくとジャンニに言って少し叱られた。
「ネガティヴな気持ちからは、どんな解決策も生まれないぞ!

それは『Transumanza della Pace』プロジェクトを立ち上げてから今日まで、ありとあらゆる困難に遭遇しても、そんな自分を笑い飛ばしさえし、たった一人で前向きに悩み、辛抱に辛抱を重ね、あっちこっちと奔走し、ここまでたどり着いた男の言葉、そして数限りない国際援助活動を支えてきた私の大好きな社会学者のように、そして貧しい空間、弱い人の中にも美しさや力を描き、行動を起せるだけのロマンティシズムを持つすべての者の精神を示す言葉だ。

昨年、ボルディゲーラで、マッソブリオへのサプライズとして『なでしこ』が歌った、彼の大好きなブルーノ・ラウツィの『リトルネライ』。今年は、既に彼女たちのレパートリーの一つになっていた。

“Ti senti sola    『君は寂しいだろう  
con la tua libertà たとえ自由であってもね  
ed è per questo    だからだよ、  
che tu ritornerai” だから君はきっと戻ってくる』  

注:2枚目のアーダの写真は、ボスニア・ヘルツェゴビナのヴィシェグラードを流れるドリナ川とソコルル・メフメド・パシャ橋を背景に撮影しています。歴史小説『ドリナの橋』を書いたバルカン地域で唯一のノーベル文学賞受賞者イヴォ・アンドリッチはここで育しました。アーダはこの小説を読み旧ユーゴスラヴィアの人たちの事を理解したと、この本を勧めてくれました。

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